相続コラム・ガイド

財産があっても相続人がいない時はどうなる?

相続の手続きの中で、相続人全員が話し合いをして遺産をどのように相続するかを決める遺産分割協議というものがあります。

しかし、亡くなられた方に財産があっても、相続人が一人もいない場合や、相続人がいるかどうか不明な時がまれにあります。このような場合はどうなるのでしょうか?

このような場合には、相続財産は相続財産法人という「法人」のものになります。法人とは、法によって特別に権利や義務の主体とされる、人間以外のもののことです。会社は勿論、大相撲の相撲協会なども法人です。

相続財産法人となった財産の管理は、受遺者や債権者などの利害関係者、または検察官の請求に基づいて家庭裁判所に選任される、相続財産管理人が行うことになります。

相続財産管理人は、被相続人の借金を相続財産の中から返済したり、遺贈があったらそれを履行するなど、相続財産の清算の手続きを進めていきます。また、相続人を捜すことも行います。

清算後も相続人が不明の場合には、相続財産は国のものになります。

しかし、財産分与が行われる場合があります。

特別縁故者への財産分与制度

相続人が不明の場合に、長い間被相続人と生活をともにしてきた内縁の妻や夫、養子や養親、被相続人を一生懸命お世話をしたり看病してきた人などが特別縁故者と認められて、遺産の全部または一部を与えられる場合があります。このことを、特別縁故者への財産分与制度といいます。

特別縁故者への財産分与制度を利用するためには、家庭裁判所に請求をして認められることが必要になります。ただ被相続人が亡くなられる直前に短期間お世話をしていた程度のことでは、ほとんど認められません。

裁判所に認められた例としては、30年以上の長期にわたって被相続人といっしょに暮らしていた事実上の養子や、被相続人に依頼されて看護師として2年以上も連日、誠心誠意看護をした人、50年以上被相続人の相談相手となって経済的にも助け合い、死を看取った教え子などの例があります。

被相続人と生活をともにしてきた人は、家庭裁判所に「特別縁故者に対する財産分与の審判申し立て」をすれば、財産分与が認められることがあります。

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2020.04.24 15:52

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