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遺産分割の時には、
といった主張をする相続人がいらっしゃいます。
他の相続人が「そのとおりだ!」と、被相続人に対する貢献(寄与)を認めて、寄与を主張する相続人により多くの遺産を分配することに納得すれば問題ありませんが、遺産分割の協議では、そのようにスムーズにいくことはそう多くはないと思われます。
介護などの被相続人に対する寄与については法律ではどのように取り扱われるのでしょうか。
寄与分の制度とは、「共同相続人の間の公平を図るため、共同相続人の中に、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者があるときは、寄与分を加えた額をその者の相続分とする」という制度です。
寄与分として認められることがあるのは「長年家業に従事した」とか「療養介護に努めた」とか「財産を給付した」などの場合です。
ただし、民法上は、夫婦間や親族間には「扶助義務」が定められていますので、療養介護等のすべてについて寄与分が認められるわけではなく、夫婦・親族間の扶助として多くの人が通常行うと期待される程度を超える場合には「特別の寄与」として認められる場合があります。
一般的には、同居やそれに伴う家事の分担だけの場合や、仕事のかたわら、通って介護した程度のものは、親族としての協力の範囲内であるとして、特別の寄与とは認められません。
遺産分割の際に、裁判所が認めない寄与分にこだわると、分割協議が長引いてしまうことにもなります。
たとえ金銭的な評価が認められなかったとしても、「亡くなった被相続人のために療養介護を頑張った」ということは、人として、とても大きな価値のあることではないでしょうか?
相続コラム・ガイド
2020.06.11 13:29